---本編スタート♪---
さてさて、えーっとどこまでやったんだ?w
予備的法律問題 (G)戦勝国の主権に関する理論 Ⅲ
前回前々回と戦勝国の主権に関して説明してきたわけですが、こういうこと自体に異を唱える人というのがおりまして、それはどんなことかというと、
本裁判所は戦勝諸国によって設置されたものであるから、これらを設置する裁判所条例の諸規定のいずれに関しても、諸国の権能に対し疑義を挟む権限はない
これはつまり、判事は訴状に対して判決を言ってればいいのであって裁判所や裁判所条例に文句言う資格はない、ということを言いたいらしいのですが、
パール判事は
「かような見解を支持する原則を、全く見出すことが出来ないと告白せざるを得ない」とばっさり切り捨てます。
本裁判所条例は国際法の権威を無視することは出来ず、また本裁判所はこの国際法の権威に基づいて本裁判所条例の諸規定が法律上有効であるか否かに疑義を挟む権限を十分に有している
とした上で、
この裁判そのものがこの問題をともなうであろう。その問題を検討せよと裁判所条例によってとくに付託されることは要求されないであろう
と言っています。ここがかなり深い!
いってみれば、この時点で事後法の疑義が出ているわけですからそれを無視して裁判を進めていくことは出来ないわけですよ。だからそういう事にならないよう常に監視が必要なわけで、それは裁判の最後までやらなきゃいかん。そんでもって、それをわざわざ裁判所条例に入れるなんてことはするわけない。それはそれ自体が当たり前だからです。(うがった見方をすると、自分たちが悪いことしようとしているのだから悪いことしないように監視するべし、と条例に盛りこむわけない、とも取れます。でも多分そういう意味では書いてないと思います)
そんなわけでパール判事の結論として
1.どのような犯罪でも、これを定義することは条例の作成者の権限内にはなかった
2.もし条例がなんらかの犯罪を定義したとしてもその定義は「越権」行為に他ならず、従って我々に対して拘束力を有しないものである
3.この点に関して、その条例の権威に疑義を挟むことは我々の権限内にある
4.本件に適用されうる法律は我々が国際法であるとして判定すべき法律である
こんな感じでまとめています。
事後法を作成する権限は誰にもないし、もしそれを行った場合はそれは無効であり、それに対して疑義を挟む権限が判事にはある。そしてこの裁判に適用される法律は国際法である
パール判事の感覚からすれば、どのように不公平不平等な手順を取っていったとしても、判事が国際法を正確に適用すればおのずと公平平等な判決になる、ということなんでしょう。
判決が不公平不平等になった場合は国際法が適用されていないので無効である、という風に解釈しておいていただければOKかなと思います^^
そうして、次の(H)に向けて(G)は締めくくられていきます。
裁判に適用される法律は国際法である、という結論から、次の主要な問題として
1.ここに訴追されているような性質の戦争が、国際法上の犯罪となっていたか
2.訴追されているような性質の戦争が国際法上の犯罪であると仮定した場合、果たしてここに訴追されているような役目を果たした個人たちが、国際法上の元において刑事上の責任を負うべきか
を、上げて、(H)へ続く、というわけです。
戦争もしくは侵略戦争が国際法上犯罪であるか否か!?仮に犯罪とした場合、国の代表としてその役目を果たした個人に刑事責任はあるか否か!?
次回、こうご期待!!!><b
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