---本編スタート♪---
予備的法律問題 (H)侵略戦争-犯罪であるか
(2)侵略戦争-1914年から1928年パリ条約成立までにおいて不法または犯罪であったか
さてさて、
ここでは、パール判事はこの期間中に重要と思われる様々な人の発言などを引用して考察していきます。今までなるべく引用は避けてたんですが(引用の引用となってしまうため分かりづらいので)、今回ばかりは引用オンパレードとなっておりますので、パール判事が引用している箇所はそれと分かるように書いてみます^^;
1925年のクィンシーライト教授の言葉
「現行の国際法の元においては、戦時もしくは他の非常の必要が生じた場合に行われるものでない限り、『戦争行為』は非合法である。しかし、平和状態から『戦争状態』への移行は合法的でも非合法的でもない」
「国際関係の現状における戦争の諸原因の複雑なこと、現行の立憲政体の中で責任の所在を発見することの困難なこと及び種々の出来事の企画に起因するもんほとなすよりむしろ自然の原因に基づくものとする科学的習慣が行われていること等の中に見出されるのである」
「戦争を責任ある個人たちの行為に帰することが不可能である限り、戦争を非合法と呼ぶのは無意味である。それらの戦争は犯罪ではない。疾病の症状である」
1927年12月12日 ボラー議員が米合衆国上院に提出した決議案において
戦争の害悪を十分に認識し「国際法上の、一つの公の犯罪となすことにより国際紛争解決のための一つの制度または方法としてこれを非合法化すべきである」とした。
そして加えて「国家間の戦争は今日までつねに合法的制度であったのであり、今日もなおその通りである」
と言明した。
1924年 ホールの「国際法」第八版
「国際法にはどんな司法的、または行政的な機関も存在しないから、国家がみずから不当な取り扱いを受けたと考え満足すべき弁済を得るために、すでにあらゆる平和的手段を尽くした場合には、実力によってみずからのために救済を強要する方法をとっても、なんら差し支えないこととなる。かようにして国際法は、戦争をその決定に効力を付与するために許された一つとして認めている」
「実際的価値を有する一般的規則をつくりあげることは不可能なのである」
「どのような戦争においても、両当事国はまったく同一の法律的地位にあり、従って同等の権利を有するものとみなされるのである」
1944年 ラウターパクト博士が校訂した「国際法」第六版
「戦争の権利は国家主権の特権であった。かように考えれば、全ての戦争は正当であった」
以上の事を持って、パール判事は次のようにまとめています。
正当な戦争と不正な戦争との間、あるいは非侵略戦争と侵略戦争との間に明らかな一線が画されたことはなく、また戦争の法的正確についての差異が、かような区別に基づいて存したこともないのである。
(かような諸規約及び条約によって影響を被らない事態に関する限り)最初の二期の間は、どんな戦争も犯罪とならなかったということは十分に明白であると思われる。
戦争は国際生活上の一害悪であったかもしれない。国際生活の疾病とさえなったかもしれない。しかし確かにそれは犯罪ではなかったのである。
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